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尾崎将也と浅野妙子の二人で特別セミナー実施

Mar 28, 2013

CATEGORY : 脚本

今回は告知です。

4月13日(土)、尾崎将也と浅野妙子の二人で日本脚本家連盟スクールの受講説明会&特別セミナーを行います。時間は午後2時~4時。前半は田村隆さんと河村シゲルさんが放送作家クラスについて話し、後半は尾崎将也と浅野妙子が脚本家クラスについて話します。

前にも書きましたが、脚本家の仕事はどんなものか、どうやって脚本家になるか、そして教室ではどんなことを学ぶかをざっくばらんに話します。必ずしも教室に入るつもりのない人も歓迎です。

なお、受講説明会&特別セミナーは3月31日(日)にも行われます。詳細・申し込みは教室のサイトで。

〔尾崎将也 公式ブログ 2013年3月28日〕

映画分析の実例 「ゴースト」のヒロインはなぜヘタレなのか?

Mar 25, 2013

CATEGORY : 映画

先日、日本脚本家連盟の教室で、映画を分析する講義をしました。題材に選んだのは「ゴースト/ニューヨークの幻」。今回はこの講義で話したことのうちいくつかを紹介します。

「ゴースト/ニューヨークの幻」は90年に公開されたジェリー・ザッカー監督、パトリック・スウェイジ、デミ・ムーア主演の映画。これを講義の題材に選んだのは、非常によく出来たエンタテインメントで、面白くするためのテクニックが数多く使われているからです。以下に書くことは、この映画を見ていないと何のことかわからないので、まだ見たことのない人は見た上で読むことをお勧めします。

まず前にも書いた「物語を把握する」ということから。この映画は見終わった後の印象では、主人公の男女の愛を描いたロマンチックな映画という感じが強いです。しかし物語をよく見ると、「殺人が起こり、犯人を探して突き止め、犯人のさらなる悪事を阻止した上でやっつける」という「事件もの」の型を踏まえていることに気づきます。事件ものは普通なら刑事や探偵が主人公になって事件を解決しますが、この映画では殺された本人が幽霊になってその役割を果たすのがユニークなところです。そしてその物語をラブ・ロマンス的な要素でくるむことで、殺伐とした事件ものではなくロマンチックな映画という印象を観客に与えることに成功しています。

この作品は「カセ」を非常にうまく使っています。生きている人たちは幽霊になった主人公サムの存在を気づいてくれず、何かを知らせたくても手段がありません。また幽霊は物体をすり抜けてしまうので、物理的な作用を及ぼすことも出来ないのです。物語はサムがこのカセを克服しながら進みます。生きてる人とコミュニケーションを取るために、唯一コンタクトが取れる霊媒師のオダ・メイに頼むサムですが、恋人モリーはなかなかオダ・メイの言うことを信用しなかったり、せっかく一度信用してもオダ・メイの過去の犯罪記録を見てしまって信用が崩れたりと、次から次へとカセ(主人公が困ること)が押し寄せます。また主人公が頼りにする相手のオダ・メイや地下鉄の幽霊(物に触る方法を教えてもらう)が、単に親切な人ではなく、サムの頼みを断ろうとするところも、キャラの面白さになると同時に物語的なカセとして機能しています。

主人公の恋人・モリーは非常に「ヘタレ」なキャラとして描かれています。主体性というものがなく、恋人サムが死んでしまうとメソメソしているばかりで、あげくの果てにサムの友人カールに口説かれてキスされてしまったり。しかしモリーがもしこういうヘタレなキャラでなく、前向きにどんどん行動するキャラだとしたら、幽霊になった主人公のサムがやることがなくなってしまいます。サムが幽霊というカセを乗り越えて活躍するためには、モリーはこのくらいヘタレな女である必要があったのだとわかります。

ツイッターでフォロワーの人から、ラストでサムが「愛してる」と言ったのに、どうしてモリーは「同じく」と答えたのか? サムがせっかく「愛してる」と言ってくれたのだから「愛してる」と言えばいいじゃないかと思うのだがどうか、という質問が来ました。ここは確かに僕も一瞬「これでいいのかな」と思ったところです。しかしよく考えてみるといいような気がして来ます。サムは生きている間、モリーに「愛してる」と言えず「同じく」と答えてしまいます。でもこれは彼女を愛していないからではなく、照れ臭さや幸せへの恐れの気持ちがあって、素直になれなかったからです。彼は死んで幽霊となって、必死にモリーを守ろうと奮闘します。最後にはモリーもサムが自分を守ってくれていたことを知ります。モリーはサムが「同じく」としか言えなくても、ちゃんと自分を愛してくれていたことに気づくのです。このとき「同じく」は彼ら二人の間では「愛してる」よりも強い愛の言葉になるのです。だからモリーが「同じく」と言うのは、より強い愛の表現になっていると言えると思います。

以上は2時間の講義で話したことのほんの一部です。また、これらは「尾崎将也はこんなふうに分析した」ということであって、唯一の解釈ではありません。ただ、こんなふうに色々と考えて自分なりの分析をしてみることが大切なのだと思います。

〔尾崎将也公式ブログ 2013年3月25日〕

連ドラはこうして作られる(その2)~「撮るものがない」状態だけは避けたい

Mar 17, 2013

CATEGORY : ドラマ

「その1」では企画が生れる過程について書いたので、今回は企画が決定した後、脚本を書いて行く過程について書きます。1、2話を書く作業は、脚本を書く作業であると同時に企画を固めて行く作業であるとも言えます。脚本を書きながら企画を修正して行くこともありますし、脇役のキャスティングが決まったり撮影場所やセットの間取りなどが決まることで、それらが脚本にフィードバックされて行きます。
こうして1、2話を書く間に企画が固まると、次に3話以降の作業に入ります。1、2話は試行錯誤するので時間もかかりますが、3話以降は一定のペースでどんどん書いていくことになります。最終回を脱稿しなければいけない日までの日数を残り本数で割れば、1話あたりにかけられる日数が出て来ます。例えば4月クールなら5月末に最終回を脱稿しなくてはいけません(最終回の放送日によっても前後します)。2話まで出来たのが2月末で、全部で10話だとすると、3~5月の3カ月で8本書くことになります。ということは一本あたり約11日です。(NHKの朝ドラの場合は、一週90分の脚本を約12日平均で書いて行くことになり、民放の連ドラよりかなりきつい作業になります)
さてこの11日の中身ですが、一般の人は作家というと部屋にこもって原稿を書き、出来た原稿を渡せば仕事が終わる、というイメージを抱いていると思いますが、脚本家は11日間部屋にこもって一話の脚本を書くわけではありません。まずプロット(ストーリー)を書いて打ち合わせをして、こういう話で行こうと決まったら脚本の初稿の作業に入り、初稿が出来たらまた打ち合わせをして、直しの方向を決めて二稿の作業に入り、出来たらまた打ち合わせして......ということを繰り返し、「もう直すところがない」となったところで完成(決定稿)となります。どれくらい直すかは、ケース・バイ・ケースで、スムーズに行って直しが少なく済むこともあれば、手こずって何度も直すこともあります。僕の場合は平均3~4稿くらいです。この一連の作業を11日間でやるということです。
もちろん毎回予定通り11日で終わるはずもなく、難行して日数オーバーすることも当然あります。そうするとその後にしわ寄せが行き、最終回あたりは一本を一週間で書かなければいけないという状況になったりすることもあります。さらに脚本が遅れると、現場で「撮るものがない」という状態に陥ります。これが脚本家が最も恐れることでしょう。そういうことにならないためには、「今、何日遅れか」という状況を把握して、管理して行く必要があります。実はプロデューサーは意外と脚本のスケジュール管理はしてくれないもので、脚本家が自分でやって行かなくてはいけません。
また決定稿になる手前で、「これで大体出来たな」となったところで一度「準備稿」という台本を印刷します。これはスタッフがスケジュールを組んだりロケハンをしたり、衣装、小道具などの準備をするのと、主役クラスの俳優に読んでもらって意見を聞くことが目的です。俳優が意見を言うかどうかは人によって全く違います。何も言わない人もいれば、けっこう細かく言う人もいます。どちらにせよ準備稿を見せるということは「意見があったら今のうちに言ってください」ということです。ですからわがままな俳優が撮影中に「こんなセリフ言えない」と言って控室にこもったりする場面を映画やテレビドラマの中で見ることがありますが、実際はそういうことはまずありません。文句があるなら準備稿のときに言っているはずだからです。またスタッフからは「この場所ではロケの許可がおりないので変更して欲しい」など諸々の物理的な要望が出て来ます。これら俳優サイドとスタッフサイド両方の意見を入れて最終的な直しをしたものが決定稿になるのです。ですから決定稿は「これで問題なく撮影出来るはず」というものになっています。
スタッフにせよ俳優にせよ、意見はプロデューサーに対して言います。脚本家はプロデューサーとの打ち合わせでそれらの意見を聞きます。複数の人が矛盾する意見を言ったりすると脚本家は困るわけで、プロデューサーはそれらをちゃんと交通整理して脚本家に伝える役目があります。
このように短い時間の中で色々な人の意見や諸事情を取り込んで作品にまとめる力が脚本家には要求され、そこが小説家とは全く違うところです。こういう部分を楽しめるかどうかが脚本家に向いているかどうかの大事なポイントになると思います。

〔尾崎将也公式ブログ 2013年3月17日〕

P/PCバランスとは何か

Feb 28, 2013

CATEGORY : 脚本

脚本を書くことは「アウトプット」です。これまでにも書いて来たように、何かをアウトプットするためには、その前に必ず何かをインプットする必要があります。これはどんな分野でも同じで、スポーツの試合で勝つためには練習が必要だとか、試験でいい点数を取るためには勉強が必要だとかいうのと同じことです。無から有が生れることはないのです。ただ脚本の場合、何をどれだけインプットすればいいかということが明確ではありません。スポーツなら「ここを強化したいならこういうトレーニングが効果的だ」とかいうことがある程度科学的に言えるでしょうが、脚本にはそこまで明確な練習メニューのようなものはありません。映画を見ることや読書が一番効果的な人もいれば、実際に色々な人と関わって色々な体験をすることの方が重要な人がいるかも知れません。いずれにしてもインプットが大切ということには変わりません。

このあたりを理解するのに非常に有効な考え方があるので今日はそれを紹介します。それは「P/PCバランス」という概念です。これはスティーブン・R・コヴィーの「7つの習慣」という本に書かれているもので、Pは成果(Performance )、PCは目標達成能力(Performance Capability)のことです。スポーツの試合で勝つことがPだとすると、練習で鍛えた強い身体がPCに当たります。別の例えで言えば、野菜などの作物がPなら畑がPC。脚本の場合は、脚本がPで、PCは自分の脳の中に存在する脚本を書く能力です。
PCがなければPは生れません。なのに人はついPにばかり目が行ってしまい、PCを疎かにしてしまう傾向があります。特に脚本の場合はそれが顕著になります。その理由はPCが脳の中にあって目で見ることが出来ないからです。脚本を書く人は目の前にある自分の作品しか目に入りません。そして「どうすればこの作品がよくなるか」ということを必死に考えます。しかし、いい作品を書くためには脳にその能力(PC)がなければなりません。逆に言えば、脳の方にその能力がちゃんとあれば、自然といい作品が書けるのです。だから考えなければならないのは、作品(P)をどうするかより脳(PC)をどうするかです。かといって、パカッと脳を開いて外科手術すればいい脚本が書けるようになったりはしません。頭蓋骨の中にあって外から見えない脳に対して、外側から何らかの作用を及ぼして、PCを形作って行くしかないのです。その「作用」がすなわち「インプット」です。前に書いた映画を見て分析する方法は、「尾崎将也はこのやり方をしました」というインプット方法のひとつです。

この「P/PCバランス」という考え方は、脚本以外にも色々なところに応用出来ると思います。

日本脚本家連盟の教室がリニューアル

Feb 25, 2013

CATEGORY : 脚本

僕が講師をしている日本脚本家連盟の教室が、4月スタートのクラスから新しいカリキュラムになります。これまでの脚本家教室は、ドラマだけでなくバラエティや情報番組などドラマ以外のジャンルについての講義もあり、ドラマ脚本家になりたい人とそれ以外のジャンルの放送作家になりたい人が一緒に学ぶ形になっていました。日本脚本家連盟という団体がドラマの脚本家だけでなく放送作家の人も加盟している団体であることから、両方を教える教室としてスタートしたのでした。
今回、これを「脚本家クラス」と「放送作家クラス」に分けて、それぞれに特化したカリキュラムを組むことになりました。その分、従来のカリキュラムより講義の数が減るため受講料も安くなります。教える本質が変わるわけではありませんが、学ぶ人からすると、通いやすくなるのかなという気がします。

4月13日(土)の午後2時から浅野妙子さんと尾崎将也の二人で「説明会&特別セミナー」を行います。ここでは教室の説明と、脚本家とはどんな仕事か、どうやって脚本家になるかというようなことをざっくばらんに話します。僕と浅野さんは二人ともこの教室の出身者で一緒に学んだ仲です。このセミナーも何年も二人でやっています。浅野さんは割と言いたいことを言う人なので、「それを言って大丈夫か」というような業界の内輪話も歯に衣着せず話し、僕はいつも「今のはネットには書かないようにお願いします」と火消しに必死です。

詳しくは教室の公式サイトをご覧ください。セミナーの申し込みはこちらです。

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