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初心者がプロットを考えるときのチェックリスト

Dec 26, 2017

CATEGORY : 脚本

 前に、「脚本初心者あるある」というタイトルで、脚本の初心者がプロットを書こうとするときによく起こる問題点について書きました。今回は、「ではどういう点を守って書けばいいのか?」というチェックリストを書いてみます。

(1)一人の主人公を決める
 ドラマは、ほとんどの場合、「特定の一人の人物を主人公としたドラマ」です。「この人の、こういうドラマ」というところにその作品の本質が現れます。この原則から外れた「群像劇」のようなタイプの作品も例外的にありますが、初心者はまずは基本を勉強することが大切なので、「主人公はこの人」と決めて「その人が主人公のストーリー」を考えてください。なぜそうしなければいけないんだろうと思っても、とりあえずは「それがルールらしい」と思っておいてください。

(2)葛藤があるか
 「ドラマには葛藤が必要」というのは、脚本の勉強を始めたら必ず聞くことでしょう。しかしそれは初心者にはわかりにくいことのようです。「葛藤が必要」と意識した上で書いても、往々にして葛藤のない作品になります。
 葛藤とはわかりやすく言えば、「主人公が困ること」です。例えば刑事ドラマの「困ること」は犯人が誰かわからないか、誰かわかっているけどどこにいるかわからないということです。主人公の刑事が捜査して、その困ったことを解消するのが刑事ドラマのストーリーです。困ったこと(犯罪)が起こらず「平和でいいなあ」と言っていてもストーリーにはなりません。
 また初心者は「葛藤をワンポイント入れればOK」という勘違いをよくします。「この作品には葛藤がない」と言うと、「あります。ほら、ここに」と一行を指さすのです。刑事ドラマで事件発生から捜査して犯人を逮捕するまで一定の時間を要するように、葛藤は「時間の中」に存在します。
 また葛藤には「人物対人物」「人物対環境(貧乏とか病気とか)」「人物の心の中の葛藤(迷いとか自己否定とか)」の三種類あると覚えておくと、考えやすいでしょう。

(3)一本の軸に絞る
 初心者に「これはどんな話か」と聞くと、「あれと、これと、これも」などといくつも言うことがあります。ドラマは主人公が一人というのが原則であるのと同じように、ストーリーの軸もひとつというのが原則です。もちろんメインの軸に対してサブストーリーがあるのは普通ですが、それはメインの軸を描く上でそのサブストーリーを入れることが効果的だという判断により、あくまで「サブ」として入れられているものです。中には全く関係のないように見える複数の話が交錯するような作品もありますが、例外的なものです。

(4)知っている範囲のことを書く
 知らない世界を取材して書くことは悪いことではありませんが、時間や手間をかけて取材したとしても、それはその取材対象について詳しくなっただけで、脚本を勉強したわけではありません。先日、刑事と交番のお巡りさんの違いを知らずに警察を舞台にした作品を書こうとしている生徒がいましたが、そんな状態から警察のことを調べ始めて、警察を舞台にした作品が書けるようになるにはかなり長い道のりが必要です。今は脚本の基礎を勉強することが第一なので、自分が知っている範囲のことを題材にした方がいいと思います。

(5)自分がなぜそれを書きたいか答えられるものを書く
 教室では「とにかく課題を提出しなければ」ということで深く考えずに書いてしまい、「なぜこれを書いたの?」と聞いても「いや、何となく」くらいしか答えられない人が割といます。ドラマを書くには、その題材やテーマに深く入り込むとか、人物に共感したり興味を持つことが必要です。
 何となく思いついたことであっても(どんな思いつきも最初は何となく浮かぶものですが)、自分はなぜそれを思いついたんだろう、どこに興味を引かれたんだろう、ということをよく考えるべきです。それを突き詰めたときにそのドラマの本質が見えるのです。

(6)「ストーリーの途中から入ること」を考えてみる
 初心者に限らず、そこそこ勉強した人でも、ストーリーの前段の部分に余計な枚数を割いてしまい、肝心のストーリーが始まるのが遅くなってしまうということがよくあります。話を考えているときには必要な段取りだと思っているのでしょう。生徒にはそういうことがよく起こるのだと認識して、「思い切って前の方を省略して途中から入る方法はあるか?」と考えてみた方がいいでしょう。

 以上が全てではありませんが、重要度の高そうなものを書きました。これを横に置いて「これらがクリア出来ているか」を確認しながら考えてください。
 ただ、そうやって注意して考えたつもりでも、間違いをすることはあるでしょう。試行錯誤は必ずあるし、必要なことです。ここに書いたようなことを注意するのは、試行錯誤をしないいためではなく、「ちゃんと必要な試行錯誤をするため」と言えるでしょう。

[尾崎将也 公式ブログ 2017年12月26日]

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