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脚色ってどんな仕事?

Apr 03, 2017

 脚本家志望の人からよく聞かれるのは、「小説やマンガの脚色はどのようにやっているのか?」ということです。脚本を勉強中の人は習作としてオリジナル作品を書くので、脚色という作業に関わることはありません。コンクールに応募する作品も当然オリジナルです。なので脚本家志望者が脚色とはどんなものか気にする必要は全くありません。その一方で実際に放送または上映されるテレビドラマや映画は原作ものが多く、脚色という作業は脚本家の仕事とは切っても切れないものです。脚本家志望者がそこに興味を持つのも当然と言えば当然です。そこで今回はこのことについて書いてみようと思います。
 これまで僕はこのブログやツイッターなどで、脚色について書いたことは全くと言っていいほどありません。その理由は何か考えると、「あまり意識していないから」ということだろうと思います。オリジナルであれ原作ものであれ、ドラマの本質に違いはなく、脚色だから難しいということも簡単ということもありません、
 ただひとつ確実に言えることは「原作ものの方が企画としてわかりやすい」ということです。原作ものは「この小説またはマンガを映像化」と言ってしまえば企画の説明がかなりの部分終わってしまうのに対して、オリジナル企画はどういう内容なのかをゼロから理解してもらう必要があります。結果としてテレビドラマや映画で原作ものが多くなってしまうのはある程度仕方ないのかなと思います。

 さて、実際の脚色ですが、改めて考えてみると、作品ごとにかなり作業内容が違っており一般論として述べるのは難しいので、いくつかの実例を書いてみたいと思います。

結婚
 今年6月24日公開のディーン・フジオカさん主演の映画です。原作は井上荒野さんの小説です。原作は連作短編的に主人公と女性一人ずつの関わりを描いて行く形態なので、これを映画にするには同時に数人の女性の話がからみあうストーリーにする必要があります。またディーン・フジオカさんが主演ということは最初から決まっており、小説より主人公の年齢を若くする必要もありました。これらは「自分がそうしたい」というよりこの原作を映画にするにはそういう変更が必要になるということです。考えてみると原作を脚色するときは、このように最初は「自分がそうしたい」よりは「どうすれば作品としてうまく成立するか」ということを考えることの方が多いです。そして「これで行ける」となって書くうちに、自分の作品になって行くという感じです。

お迎えデス。
 昨年4月に日本テレビで放送された連ドラです。原作は田中メカさんのマンガです。この作品をドラマ化するときに一番大きなポイントは、原作は1話あたりのストーリーを1時間ドラマ(正味約45分)にするには長さがやや足りないということでした。そこはオリジナルでストーリーを膨らませる必要があります。この「膨らませる」という作業は脚色の中でしばしば必要になることです。結果として、このドラマは毎回泣ける作品になって行きました。自分が泣ける作品を書けることを改めて自覚することの出来た作品になりました。またドラマのキャラ設定を生かした特別編を田中メカさんが書いてくださったのが嬉しかったです。

吉原裏同心
 14年にNHKで放送された佐伯泰英さん原作の時代劇です。この脚色の作業でポイントとなるのは「原作が長い」ということです。このドラマ化の当時で二十巻くらい出ていました。まずは当然、その長大な作品を全部読む必要があります。ドラマは全12話なので、原作のどの話を、どの順番でドラマにするか選ぶというのがかなり大変な作業でした。選ぶポイントは、ドラマにしたとき面白いかというのは当然ですが、映像化するのにお金がかかりすぎないとかいうことも考える必要があります。原作の中に吉原が火事になる話があるのですが、ドラマではお金がかかりすぎるということで見送られました。しかし後に正月時代劇でスペシャルをやることになり、このときは制作費も余裕があったようで、この火事のエピソードを映像化することが出来ました。

ママが生きた証
 妊娠5カ月で末期がんを宣告されながらも、長男を出産し、その後亡くなった女性とその夫を描く実話を元にした作品で、14年に単発ドラマとしてテレビ朝日で放送されました。原作は、女性の夫である小松武幸さんが書いたノンフィクションです。これをドラマ化するにあたっては、小松さんや、奥さんを担当されたお医者さんにかなり詳しく話しを聞きました。当事者の方の協力なくしては出来ない作品だったと思います。

 このように見てくると、一口で脚色と言ってもその作品ごとにやっている作業がかなり違うということがわかると思います。そういう意味では「脚色に特化した勉強」などは特になく、ドラマ一般をきちんと勉強すれば、おのずと脚色も出来るようになるのでないかと思います。

[告知]

 監督作「世界は今日から君のもの」(主演・門脇麦)が7月15日に公開されます。

 書籍「3年でプロになれる脚本術」(河出書房新社)が発売中です。

[尾崎将也 公式ブログ 2017年4月3日]

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