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アイデアは本当に天から降って来るのか?

May 10, 2017

 よく「アイデアが天から降って来た」という言い方をすることがありますが、僕はこの言い方があまり好きではありません。この言い方だと、いいアイデアが沸くかどうかは神頼みで自分の意思ではどうしようもないみたいな感じがするからです。もちろん、いつ、どんなアイデアが沸くかは予測出来ないものです(ここで言うアイデアは、面白いストーリーだけでなく、セリフやキャラクターなど脚本を形作るもの全てを指しています)。いいアイデアが浮かんだとき、なぜそれがあのとき浮かんだのか後になって考えても、「たまたま」としか思えません。しかしそれは天から降ってきたわけではなく、正確に言えば、脳の無意識の部分から意識の方に上がって来たということです。
 天から降って来るのと、無意識から上がって来ることの違いは何でしょうか。それを解く鍵は「原因と結果の法則」という考え方にあります。物事には必ず「原因」と「結果」があります。ある結果を手にしたければ、その原因を作るなり用意する必要があるのです。
 例えば植物を例に考えてみます。畑に種をまき、肥料や水を与える。そしてしばらくすると、土の中から芽が出て来る。このとき出て来た芽は「天から降って来た」わけではありません。種や養分や水分という「原因」があって、その「結果」としての芽です。人の目に触れたのは芽が出た瞬間だとしても、その原因は土の中にすでにあったわけです。
 アイデアも同じだと思います。いつかどこかで脳にインプットされた何かが、脳の中で変化したり加工されたりして、ふと顔を出すのです。植物の場合と大きく違うのは、植物は「この原因がこれくらいあれば、これくらいの時間でこの結果が得られる」ということがかなりはっきりしているのに対して、アイデアは何が原因で、どれくらいの時間をかければ出て来るとか、そういうことが全くわからないということです。
 この理屈を理解したとして、では我々は何をすればいいのでしょうか。つまり、何をどれくらいインプットすればいいのか。それは「これが答えだ」と明確に言えることはありません。ただ、「僕の場合はこうだった」と経験的に言えることがあるだけです。それが拙著「3年でプロになれる脚本術」に書いた、名作映画を見て分析し、カード化するなどの方法です。これがおそらく一番効率のいいやり方だろうと僕は思います。
 ただその一方で、受験生のように効率のいいやり方で「お勉強」すれば最善の効果が出るのだろうか、という疑問もあります。ピアノが上手に弾けるという結果を得るには、ピアノの前に座って練習するという、ほぼ単一の原因しかないので、ひたすらそれをやればよいでしょう。ピアノに限らず、楽器やスポーツの練習においては、この原因と結果の法則はかなりシステム化されているようです。しかし脚本の場合はそのように単純化することが出来ません。例えば「余計な時間を食ってしまったな」と一見無駄に見えるような体験の中にも、後でいいアイデアの元になるような何かがあるかもしれないのです。
 また脚本の場合は、面白い脚本を書けるという結果が、ピアノが上手に弾けることのように単純なものではありません。「面白いストーリーが思いつくこと」と「人間を深く掘り下げて描くこと」はかなり別のことのような感じがします。「いいセリフを書くこと」と「緊密な構成を作ること」も関連性があるような感じはしません。しかしこれらの間には微妙な絡み合いがあります。ストーリー、キャラクター、セリフ、構成など、多岐にわたる能力が集まって、それぞれが絡み合うことで、脚本を書けるという能力になって行くのです。
 求める結果が単一ではなく複雑さを持っているのに、それらをカバーする原因をどうやってインプットすればいいのかと考えると、気が遠くなりそうですが、まずは意識を「原因」に向けて、貪欲に原因の摂取に努める意外ないのではないかと思います。

[告知]
監督した映画「世界は今日から君のもの」が7月15日に公開されます。
出演:門脇麦、三浦貴大、比留川游、安井順平、駒木根隆介、マキタスポーツ、YOUほか
監督・脚本:尾崎将也
音楽:川井憲次
主題歌:藤原さくら「1995」

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