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たくさん仕事をするこということ

Aug 22, 2014

CATEGORY : 脚本

 去年の秋頃から、かつてないほどの量の仕事を同時進行でやっていました。4月クールの「ブラック・プレジデント」(全11話)、7月クールの「吉原裏同心」(全12話)、「ラスト・ドクター」(全9話)、「匿名探偵」(全9話中5話)、あと単発の「ママが生きた証」です。数日前にやっと全部終わりました。
 仕事をたくさんいただけるということはありがたいことです。仕事の依頼に対して「今ちょっと忙しくて......」とこちらが難色を示したときに、「じゃあ、別の人にお願いします」とアッサリ言われるよりは、「そこを何とか。ぜひ尾崎さんにお願いしたいんです」と言われた方が当然嬉しいわけで、そう言われるとつい引き受けてしまうのが人情です。そうこうするうちに、「いくらなんでもやりすぎでは?」みたいな状況になってしまったわけです。
 仕事をたくさん受けたとき、一番懸念されることは、「ちゃんと所定のスケジュール内に相手に迷惑かけることなく全部書けるか」ということです。この点をどうやってクリアするかと言えば......「ひたすら仕事する」。これ以外にありません。とにかく仕事以外のことは極力しなくてもいい状態にして、それでも足りなければ睡眠時間を削るしかありません。こういうとき意外にネックになるのが「移動時間」です。都心に住んでいてよかったと思いました。
 次の問題は、「たくさんやり過ぎることでクオリティが落ちないか」ということです。これは自分では何とも言えないので、周囲の人に判断してもらうしかありません。今のところ「最近書くもののレベルが落ちたな」とか「二度とお前とは仕事しない」とは誰にも言われず、引き続き次の仕事の話が入って来ている状態なので、何とかなったと思っていいのでしょうか。
 次に体力や健康面の問題。4月頃の一番大変だったとき、ひと月ぶりくらいに会った人にいきなり「尾崎さん、大丈夫ですか!?」と言われてしまいました。それくらいやつれて疲弊した様子だったようです。しかし何とか倒れることもなく、最悪の時期を脱することが出来ました。朝ドラのときは一度熱を出して寝込みましたが、今回はそういうこともありませんでした。
 よく聞かれるのは、「何本も平行して書いていて内容がごっちゃになりませんか」ということですが、それは全くありません。ただ単語登録している固有名詞は注意が必要です。「ブラック~」の主人公「三田村」と「吉原裏同心」の主人公「「幹次郎」は両方「み」で登録しているので、ときどき打ち間違えました。あと、プロデューサーに間違えて別のドラマの原稿を送ってしまったことが一回ありました。笑って許してもらえたので、胸をなでおろしました。
 しかし、これだけ忙しくても、原稿の分量で言えば、朝ドラはよりは少ないのです。その一方、今回は単発も含めて5本の作品の企画や人物設定を作ってドラマを「立ち上げる」という作業が必要だったわけで、原稿の量とはまた別の大変さがありました。

 今回の忙しさを経験して思ったのは、仕事が忙しいことの最大の問題は、「インプットの時間がなくなること」です。映画を見たり本を読んだり、どこかに出かけたりすることで、刺激を受けたり影響を受けたりしながら自分の作品をアウトプットして行く。それがクリエイターの理想です。そのインプットが全く出来ないというのはやはり問題です。それでも何とかこれだけの量のアウトプットが出来たのは、過去のインプットの蓄積のおかげだと思います。

[尾崎将也 公式ブログ 2014年8月22日]

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