取材の話、いろいろ
前回に続いて取材の話。今回は過去の作品でこんな取材をしたという実例を書いてみます。
「アットホーム・ダッド」
これはかなりたくさん取材した作品です。まず当然ながら専業主夫の人たち。ブログをやっている人(確か三人くらい)にプロデューサーから連絡を取ってもらい、取材させてもらいました。あとは普通の(というか女性の)主婦にも何人かに話を聞きました。それから幼稚園の先生たちにも。撮影で使わせてもらった幼稚園に見学と先生取材もお願いしました。余談ですが、このドラマが放送された後、「男女共同参画社会を考える」というテーマのシンポジウムに参加を依頼されました(丁重にお断りしました)。そういう高尚なことを考えて書いたドラマではないのですが、ちゃんと取材した成果かな、と思いました。
「踊る大捜査線・番外編~湾岸署婦警物語」
フジテレビの近くの水上署の交通課の婦警の人たちに話を聞きました。フジテレビの前まで船でやって来たのを見てびっくりしたのを覚えています。殺人事件などが起こって署に捜査本部が立ったときは、買い出しをして食事を作るという話を聞いてエピソードとして入れました。このとき「制服で集団で買い出しに行くと何事かと思われるので私服に着替えて行く」というのを聞いて、ドラマではあえて制服姿で行く描写にしました。取材した上で、事実を加工したという例です。
「結婚できない男」
主人公の職業を建築家と決めてから、建築家の人に取材させてもらいました。主人公に関する取材はこれだけです。このドラマの場合、以前にも書いたのですが、女性たちの話をけっこう聞きました。この取材が主人公を取り巻く女性たちの描写に生かされています。
「特命係長・只野仁」
何も取材していません。
「梅ちゃん先生」
これは何しろ昔の話なので取材しないと何も書けません。主人公の梅子と同年代の女医さん(今でも現役の方が何人もいる)に話を聞きました。その中で昭和21年に医専(医学専門学校)が廃止され医大になったので、医専の最後の学年は落第すると後がなくなったという話を面白いと思い、梅子をその年の入学に決めました。あと医薬品を旧海軍の施設に取りに行った話とか、しょっちゅう停電した話などドラマで描かれたエピソードのかなりの部分が取材で得た話です。
以上は「この作品にはこういう取材が必要」ということで行った取材ですが、それ以外にも特に何のためにということではなく、普段からやっているネタ集めというものも一応あります。以前は「ネタ集めをしていますか?」と聞かれると「特にしません」と答えていたのですが、Evernoteが登場してから、それらしきことをするようになりました。Evernoteのいいところは、ネットの記事だろうが自分のメモだろうが写真だろうが何でも放り込んでおけて、検索機能で後から取り出せるというところです。クラウドなのでパソコンでもスマホでも利用出来ます。これが出来る前は、ネタ集めをしたところでどうせメモが散逸したり、形式がバラバラで整理がつかなかったりするので、やっても無駄だと思っていたのですが、これを使えば後で活用するかどうかは別として、気軽にストックしておくことが出来ます。
〔尾崎将也 公式ブログ 2013年10月21日〕