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取材ってけっこう楽しいかも

Oct 17, 2013

CATEGORY : 脚本

「脚本家はどのように取材をしているのか?」という質問が何人かの人からあったので、それについて書いてみます。

脚本家にとっての取材は、おおまかに言って四つの段階があります。①脚本を書く前にそのドラマで扱う事柄の専門家に会って話を聞く。②その題材に関係する場所に行って見学させてもらう。③脚本を書いている途中でわからないことがあったら、専門家にメールや電話で聞く。④脚本が出来てから専門家にチェックしてもらう。
例えば弁護士ドラマを書くなら、①は弁護士の人に取材するということ、②は裁判を傍聴しに行くということになります。③や④は、①で話を聞いた人に引続き担当してもらう場合が多いです。もちろん別の人にお願いすることもあります。
話を聞かせてくれる専門家を探すのはプロデューサーの仕事になります。「このドラマを書くにはこういう専門家に話を聞くことが必要だ」となれば、プロデューサーが取材相手を見つけて段取りをしてくれるのです。②に関しても、その場所が許可がないと入れないような場所なら、プロデューサーが交渉してくれます(裁判の傍聴は誰でも自由に出来ます)。
なので脚本家は「これこれが必要」とさえ言えば段取りしてもらえるので楽です。あとはその場に行って取材するだけです。ほとんどの場合、プロデューサーも同行します。僕は人見知りするタチなので取材に行くときは緊張しますが、必ずと言っていいほど相手の人はとても好意的に話してくれます。取材をOKする時点で話すつもりになっているし、人は自分のことを聞かれて話すのは楽しいものだからでしょう。予定時間を超過して「まだこんな話もあるんだけど」となかなか話が終わらないことも多いです。
実地に人と会ったり場所を見たりする以外には、当然本を読んだりネットで調べたりすることもあります。これは自分で本を探して買う場合もあればプロデューサーが用意してくれる場合もあります。
以上のように、プロの脚本家はよほど難しい題材でもない限りは、取材に苦労するということはほとんどありません。その点、アマチュアの人は難しいことももあるでしょう。個人の立場で知らない人にアポを取って取材に行くなどということはなかなか出来るものではありません(もちろん出来る人はやればいいのですが)。なので僕は教室の生徒には、「取材をしろ」とは言いません。むしろ取材が必要のない、自分がよく知っている題材で書けと言っています。それは取材の難しさだけが理由ではありません。そもそも取材が必要になるような作品を書くことが生徒にとっていいことなのか?という疑問があるのです。ある題材を必死に取材したりたくさんの資料を読んだりして、ものすごくその題材に詳しくなったとします。しかしその時点では脚本の勉強はまだ何もしていません。ただ、その題材に詳しくなっただけです。生徒がやることは脚本の勉強なのであって、他のことに時間を取られることはむしろ避けるべきではないかと思うのです。もちろんこれも程度問題で、知り合いでそのことに詳しい人がいたら話を聞かせてもらうとか、関連する本を何冊か読むとかいうことは全然悪いとは思いません。

次回はこのドラマではこんな取材をしたとか、具体的なエピソードを書いてみたいと思います。

※脚本や、脚本の勉強に関する質問はいつでも受け付けていますので、ツイッターの方にお願いします。

(尾崎将也 公式ブログ 2013年10月17日)

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