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脚本の勉強におけるWHATとHOWの問題・その1

Jun 15, 2013

CATEGORY : 脚本

脚本を書く作業には、WHATとHOWの二つの側面があります。WHATは「何を書くか」。題材やテーマに関することです。そしてHOWは「どう書くか」。どんな物語にするか、どんな人物配置にするか、そしてそれらをどうやって面白くするか、というようなことです。
料理に例えると、WHATは食材でHOWが実際に調理する作業に当たります。料理の場合は食材があってそれを調理して料理が完成するということは一目瞭然です。しかし脚本の場合は、何がWHATで何がHOWなのかというのはかなりわかりにくいことです。特に初心者にとっては。
僕は、自分が生徒のときにWHATとHOWを特に意識的に分けて考えたことはありませんでした。特に考えなくても、プロになることは出来たのです。しかしプロになってから教室で講師をやるようになって、多くの生徒にとってこの問題が壁になっていることに気づきました。そのきっかけは、生徒と作品の直しについて話しているとき、どうも話が噛み合わないと感じることが多く、その原因は何か?と考えたことです。その噛み合わなさというのは、さっきの料理の例えで言えば、僕が生徒に「味付けはこうしたら?」と調理のことを言っているのに、生徒の方は「この野菜は無農薬野菜なんです」と別のことを言っている感じなのです。なぜそんなことが起こるかというと、生徒の頭の中には「調理」という概念がなく「食材」という概念しかないからです。無農薬の野菜を土が付いたままゴロンと皿の上に乗せて出せば、それで料理が完成するかのような錯覚をしているのです。
料理の場合は「それじゃ食べられないよ」というのはすぐにわかります。料理の食材は自分の目の前に存在し、調理する作業も目の前で行われます。だからそれらを客観視することが出来るのです。しかし脚本を書く作業は目で見ることの出来ない脳の中で行われ、出来上がった作品は文字の羅列として存在し、「ここがWHATで、ここがHOW」などと分けて見ることが出来ません。そのため脚本を書く作業の中でのHOWとは何なのか、そしてそれをどうやって勉強すればいいのかが非常に捉えにくいものとなり、それがよくわからないために勉強の成果が上がらないのです。そして厄介なことに、プロになるためにより必要とされるのは、WHATよりもHOWの能力の方なのです。
以前書いた「映画を分析する方法」などはHOWに関することです。僕の場合は、なぜか嗅覚的にHOWの重要性を最初から認識していたようです。次回は、「尾崎将也はなぜ無意識的にHOWの大切さを知っていたのか?」など、この問題をもう少し深めて考えてみます。

〔尾崎将也公式ブログ 2013年6月15日〕

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