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「起承転結」とか「三幕」を考える前に

Feb 17, 2013

CATEGORY : 脚本

前々回に続いて構成の話です。

以前ツイッターでも書きましたが、教室の生徒に「起承転結はそれぞれ何枚ですか」と聞かれることがあります。しかし「その質問自体が違う」という感じがします。確かに完成した作品を起承転結に分けて数えればデータとして枚数は出て来るし、たくさんの作品を分析すれば起承転結の平均的な枚数を出すことも可能でしょう。でもそれにあまり意味があるとは思えないのです。
「起承転結はそれぞれ何枚ですか」という質問は、例えば「自転車に乗るとき、身体は何度傾け、体重はそれぞれの足に何%かけるんですか」と聞くのと同じような感じがします。自転車に乗っている人はそんなことは知りません。ただ前に進もうとして自転車をこいでいるだけです。機械で計測すれば身体の傾きとか重心の移動などはデータとして出て来るかも知れませんが、その数値を知ったから自転車に乗れるようになるわけではありません。つまり起承転結がそれぞれ何枚かというのは、結果に過ぎないのです。

プロの脚本家は、「起承転結は何枚ずつ」とか「三幕の分かれ目は何枚のところ」などと自分なりの基準を持っている人もいるでしょうが、それはデータありきということではなく、自分のやり方で書けば結果的にそのくらいの枚数になると肌でわかっているということではないかと思います。

では、どうすれば起承転結や三幕の構成が作れるようになるかというと、やはり前に書いたように面白い作品の流れを分析して把握して行くのが一番の早道ではないかと思います。それが「肌で知る」とか「身体で覚える」こと(意識せず自転車に乗れるような状態)につながって行くのです。

これは尾崎将也個人の考えですが、初心者は逆に起承転結や三幕をあまり考える必要はないのではないかと思います。起承転結であれ三幕であれ、物語に含まれる要素は「人物紹介」「物語の始まり」「展開」「盛り上がり」「クライマックス」「結末」です。これらの要素がきちんと含まれていてそれぞれが機能していれば、自然と面白いものになるはずです。
例えば「物語の始まり」は、当然ドラマが始まってかなり早い段階で起こるはずです。1時間の刑事ドラマ(正味45分)なら殺人事件は遅くとも5分か10分以内に起こります。20分たっても事件が起こらない刑事ドラマは普通はありません。しかし教室の生徒が書く作品では、半分近くたってもまだ物語が始まらないということがしばしば起こります。前半で事件が起こらず刑事の日常を描いているだけなのに「これが起承転結の起だ」などと思っても意味はないでしょう。

「人物紹介」と「物語の始まり」は、誰が主人公でどんな物語かを決めて、ちゃんと最初の方で人物が紹介され物語がスタートしているかをチェックすればいいでしょう。しかし「展開」「盛り上がり」「クライマックス」については、その意味を理解するのはそれなりに難しいことです。起承転結や三幕の構成を作れるようになるためには、まずこれらの意味を理解することが必要です。今後、これらについても書いて行くつもりです。

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