脚本家・映画監督 尾崎将也 OFFICIAL SITE

Movie

Calendar

twitter

twitter

Book
ビンボーの女王

ビンボーの女王

3年でプロになれる脚本術

3年でプロになれる脚本術

Visual
世界は今日から君のもの

世界は今日から君のもの

結婚できない男

結婚できない男

お迎えデス。

お迎えデス。

MASAYA OZAKI OFFICIAL BLOG

HOME / TOP

「結婚できない男」はこうして生れた・その2

Jan 12, 2013

CATEGORY : ドラマ

前回は企画が決まるところまで書いたので、今日はその続きを。このドラマは、当然阿部寛さんが演じる桑野信介という主人公のキャラがドラマの胆になるわけですが、実はその点では全然苦労はしませんでした。なぜかと言うと、基本的に桑野は尾崎将也という人間の分身だからです。「自分を書けばいいだけ」という楽な作業だったわけです。阿部さんはそんな桑野を見事に演じてくれました。(うちの妻によると「阿部さんは絶対あなたを研究した上で演じてる」とのことです)
苦労したのは女性たちのキャラクターです。桑野の周囲にいる女性たちにどんな特徴を与えればいいか。それを考えるために、脚本を書き始める前にいろんな女性に取材をしました。そんな中、ある会社の20代~30代の独身女性たちと飲み会をしたときのこと。20代の後輩女子が30代の先輩女子にこう言いました。「○○さんて、定年まで会社に勤めるんですか?」僕はそれを聞いてハッとしました。なんという微妙なセリフ。解釈によっては「あなたは結婚なんか出来そうにないから定年まで会社にしがみつくしかないんじゃないんですか?」という意味にも取れます。もちろん当人はそんな悪気はなく、ごく普通に質問しているのです。それから注意して女性たちの会話を聞いてみると、「20代の女は30代の女にかなり失礼なことを言っている」という事実を発見しました。さっきの例は面と向かって話している場合ですが、その場に30代の人がいないときにはもっと過激なことを言ってます。「30代になってもやっぱり理想ってあるのかな」とか「20代で彼氏いない歴二年なんて恥ずかしいけど、30代になったら何年いなくても同じでしょ」とか。僕は「これだ」と思いました。そこで夏川結衣さん演じる夏美に対して、国仲涼子さん演じるみちるが徹底的に失礼なことを言いまくることにして、20代、30代それぞれのキャラを浮かび上がらせようとしたのでした。夏川さんは何を言われても微妙な笑みで受けとめる素晴らしい演技をしてくれたし、国仲さんもひどいことを言っても憎めないキャラを可愛く演じてくれました。
あれから数年。さっき例に出した、30代女子に対してひどいことを言っていた20代女子も今年で30歳。まだ独身です。

NEWER
TOP
OLDER