尾崎将也お勧め「名作映画100本ノック」補足
先日書いた「尾崎将也お勧め「名作映画100 本ノック」に選んだ映画は、ほとんどが一般的に有名な映画ですが、中には意外と知られていない作品も何本かありますので、それらについて解説します。まあ、単に自分の好きな映画をみんなに見てもらいたいだけです。
「ファール・プレイ」(79年 コリン・ヒギンズ監督)
ごく普通の人がひょんなことから事件に巻き込まれ、命の危険にさらされたりしながらもついには事件解決の当事者となって行くという、「北北西に進路を取れ」と同じような巻き込まれ型サスペンスです。この映画の場合はヒロインがちょっと頼りないOLなのでよりハラハラ感が大きく、何よりヒロインを演じるゴールディ・ホーンが魅力的。一昨年、ついにDVDが発売されました。
「デーヴ」(93年 アイヴァン・ライトマン監督)
「トッツィー」と同じような「なりすまし」の物語。「トッツィー」は売れない俳優が女に化けて女優として人気が出てしまうお話。「デーヴ」は地方で大統領の物真似をやっている男が大統領の影武者としてホワイトハウスに入り込むハメになるという物語。どちらの映画もコメディ要素と正体がバレずにうまくやることが出来るかというハラハラ要素が見事にミックスされている上、「ホラ話」なのに「そんなわけないだろ」と思わせずに楽しめる様々な工夫が凝らされています。
「新幹線大爆破」(75年 佐藤純弥監督)
時速80キロ以下に落とすと爆発するという爆弾が新幹線の台車に仕掛けられ、停車出来なくなる。車内の人々、解決に奔走する国鉄の人々、犯人を追う警察、そして犯人たちが平行して描かれるサスペンス・パニック映画の傑作。これでもかと危機が押し寄せるサービス満点の作品。「スピード」の元ネタと言われる映画です。「スピード」では爆弾を仕掛けられるのがバスなので、「止まれない」ということにやや無理がありましたが(たまたま渋滞にぶつかったらどうするのか。犯人はそういう場合は爆発してもいいと思ったのか?)、その点は新幹線の方が説得力があります。
「ミュージック・ボックス」(89年 コスタ・ガヴラス監督)
優秀な弁護士が、被告の無罪を立証しようと努力し成功するが、果たして本当に無罪だったのか......という「情婦」や「白と黒のナイフ」と同じ型の物語。この作品がユニークなのは、主人公の弁護士が女性で、弁護するのは彼女の父親だという点。父親の無罪を証明しようとするのは娘として当然だし、逆に父親に疑いを持ってしまったときの娘の心の葛藤もより強いものです。クライマックスで意外な事実が判明するシーンは、単に「事実はこれです」と情報を提示してびっくりさせるだけでなく、感情が揺さぶられるようなインパクトのあるシーンになっています。残念ながらDVDは未発売。