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脚本の初心者にありがちな間違いと処方箋

Sep 12, 2015

CATEGORY : 脚本

脚本の教室で生徒に教えていて、数多くの生徒の作品と接していると、一定の確率で出て来る生徒に共通の典型的な問題があることに気づきます。今回はその代表的な例をいくつか紹介します。

①これは前にツイッターでも書いたことですが、生徒のプロットでは「そして二人は愛を育んで行く」などと、「そこが膨らませるべきとこだろう」というところを一行で済ませてしまう傾向があります。例えばA4で3枚くらいの長さのプロットなら、上記の一行は本来なら一枚分くらいの分量に膨らまないといけないような内容です。そこを一行で済ませるということは、かなりの部分はどうでもいいことをダラダラと書いているということを意味します。
 なぜこうなるかと言うと、「ドラマというものがわかっていない」ということも当然あると思いますが、それ以上に、「難しそうなことから無意識に逃げる」ということがあるのではないでしょうか。ドラマの重要な部分を書くことは、当然難しいことです。しかしそこから逃げずに取り組まないことには先には進みません。解決法としては、まずは自分のプロットを読み返して「大事なところを一行で済ませてないか」と探す作業をすることでしょう。そしてそれをどう膨らますかを考えるということが、「ドラマを作る」という作業なのです。

②生徒は、「物語を前へ前へさかのぼって書く癖」があります。その意味を映画「クレイマー、クレイマー」を例に話します。この映画の冒頭で、主人公が会社から帰って来ると妻がいきなり「私、出て行くわ」と言い、主人公が止めるのもを聞かずに出て行ってしまいます。妻が出て行くまで、映画が始まってわずか数分です。この作品は「仕事人間だった男が初めて子育てと向き合い、息子と絆を深めて行く」という物語なので、妻は出来るだけ早く出て行った方がいいのです。生徒がこの物語を書くと、「主人公は会社人間で家庭を省みない」「妻はそのことが不満」「妻は夫に不満のサインを出すが夫は気づかない」「ついに妻は何かのきっかけで爆発して出て行く決心をする」などの流れを書いて、妻が出て行くまで30分かかるいうことになります。その結果、肝心の主人公と息子の交流を描く時間が足りなくなって行くのです。この問題を解決するには「この作品で描くべきものはこれ。だから始まりはここ」という認識や判断が出来なくてはいけません。それをしないと「想像し得る物事の顛末」をどんどん前へ前へと遡って描くハメになります。生徒の作品で「物語の発生が遅い」という症状の多くはこれが原因と思われます。

③生徒とプロットの話をしていて、「この次にどうなるの?」と聞くと、「ああなってこうなって、それでああでこうで......」とこちらが「ストップ」と言うまで長々と話す傾向があります。しかもそれを聞いていて、どういう物語なのかさっぱりわからないのです。僕の質問は「次はどうなる?」ということなので、答えは「次はこうなります」と一行で済むはずです。例えばシンデレラで「舞踏会の夜にシンデレラは家事を命じられ一人で家に残される」という場面があって、「その次にどうなる?」と聞かれたら、答えは「シンデレラの前に魔法使いのおばあさんが現れる」です。「その次は?」と聞かれたら「おばあさんはシンデレラに魔法をかける」です。このように物語は一行ずつの「次にどうなる」の連続で作られているものです。「そんなの当たり前」と思うかも知れませんが、多くの生徒は「次にどうなる?」の質問に一行で答えることがなかなか出来ません。自分が書いている物語をちゃんと把握していないからでしょう。さらに言えば、そもそも「物語を考えていない」からです。解決策としては、物語を作るときには「次にこうなる」「そして次にこうなる」とその物語を一行ずつ説明出来るか?ということを常に意識しながら考えることでしょう。その物語が面白いかどうかは、その先の話なのです。

[尾崎将也 公式ブログ 2015年9月12日]

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