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ドラマは時間の中に存在する(構成の勉強法・その1)

Feb 05, 2013

CATEGORY : 脚本

前々回書いたのは、どちらかというと映画全体の流れよりも個々のシーンを面白くするテクニックを身につける方法でした。物語全体を作るとことや、ドラマとしての構成法を身につけるための勉強は、また別の作業です。今回はこのことについて書いてみます。

まず理解すべきことは、ドラマは「時間」の中に存在している表現形態だということです。映画にしろテレビドラマにしろ録画されたDVDは単なる物体であり、DVDの盤面をいくら眺めても作品を鑑賞したことにはなりません。それをスクリーンやテレビ画面に再生して(演劇の場合は生で舞台を見て)流れ始めた作品を一定時間をかけて最初から最後まで見たときに、初めて鑑賞したと言えるのです。音楽やダンスもこれと同じ特性を持っています。それに対して絵画や彫刻や写真は時間と関係なく存在している表現形態です。
ところが脚本は原稿という形で存在しています。本来は「何分」という時間の長さで捉えるべきドラマが、便宜的に原稿用紙何枚という形で存在しているのです。それに対して小説は作者が紙に文字を書き、読者がそれを読むということで表現が完結します。これが小説と脚本が根本的に違う点です。
この点は脚本を勉強する人には捉えにくいことかも知れません。プロの脚本家は書いた脚本が映像化されるので、それを見れば自分のドラマが時間の中に存在することを実感し、当たり前のこととしてやがては意識しないようになります。しかし生徒のうちはその経験が出来ないので、紙に書いたものとしてしか存在しない脚本が最終的には時間の中で表現するドラマになるのだと意識的に考える必要があるのです。

以上を前提として、ドラマの構成を理解するにはどんな作業が必要なのでしょうか。まずは面白い映画を見たら、その構成表を作るという単純作業から始めます。DVDなどで再生しながら、どんなシーンがどんな順番で並んでいるか書いて行くのです。つまり「ハコ書き」を書くということです。すでに完成している作品から逆にハコ書きを起こすので「逆バコ」と言ったりします。
これをやるときに注意したいのは、その作品を初見の時点でこの作業をしてはいけないということです。まず一度は普通に観客として鑑賞してください。自分がその作品を見てどんなふうに感じたか、どこを面白いと思ったのか、どこで感動したのかという普通の観客の感想を持つことが必要です。最初からお勉強モードに入ってはいけません。
それともうひとつ大事なことは、この構成表は映画全体の流れを一覧出来るように書くということです。ノートに書くと全体を見るにはページをめくらなくてはいけなくなってしまい、時間の流れが感じにくくなってしまうのです。紙を二、三枚貼り合わせて横長の用紙を作るなどしてください。
さて、こうして構成表が出来たとして、ここから何を、どうやって読み取るか。それはまた今度。

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